公開からはや3カ月を過ぎたというのに、平日の昼間ですら客席は埋まっている。
リピーターが多い証拠である。くめこも実は3回目に行こうかと思うほど。
それだけではない!人気に火が付き、映画ファンのみならず、音楽ファンや
一般層までに人気が広がり、クイーンのオリジナルアルバムや今作のサウンドトラックは
絶好調!まさにクイーンブーム再来!まだ見ていない方は、是非とも劇場に足を運んで
いただきたい!これは絶対スクリーンで見るべき映画である!
天才フレディ・マーキュリーの苦悩と葛藤
ネタバレしない程度に記述するが、物語はフレディが現バンドメンバーとバンドを結成
するところから始まる。まず、フレディ役の役者さんのシンクロ率が高い!
フレディ役 ラミ・マレックとは・・・
今作の主演、フレディ役を演じていたのは、ラミ・マレックというアメリカの俳優で、
2006年から公開されている人気映画「ナイトミュージアム」シリーズで、
展示物であるエジプト国王・アクメンラー役を演じ、注目を集めていた俳優である。
2015年スタートのドラマ「MR.ROBOT/ミスターロボット」では
主人公エリオット・オルダーソンを演じ、ゴールデン・グローブ賞に2年連続ノミネート
され、第68回エミー賞主演男優賞を受賞している。
義歯や髪形で忠実に再現!
そんなラミ・マレックが再現したフレディのその忠実さは、スクリーンを通り越して、
フレディが現代によみがえったのではないかと錯覚してしまうほどのものであった。
今回の役作りのため、彼は、フレディのトレードマークであった4本の前歯(出っ歯)を
義歯を装着して挑み、そのコンプレックスから人前に出る時に隠しがちだったその仕草まで
完璧に再現している。フレディ自身は、この前歯に相当なコンプレックスがあったようで、
インタビューなどでは唇や手で前歯を隠す様子が残されている。
更に、鼻にも補強を施していたそうで、その完璧な仕上がり具合は驚愕である。
才能の裏に隠された人間らしさ
その圧倒的なライブパフォーマンスや作曲の才能とは裏腹に、映画では、その時折見せる
孤独にもフォーカスが当たっている。恋人であった女性の隣の敷地に家を建てたり、
毎晩パーティーに明け暮れたり。「ひとりが怖い」と劇中でも語っていた。
結果、フレディのその最期は、エイズという難病と闘うこととなる。
そういった光と影の部分の、その全てが語られたストーリーも人気に拍車をかけている。

圧巻のライブシーン
今作の目玉とも言える、ラスト20分のライブパフォーマンス。
このシーンはド迫力であり、まさに映画館の大きなスクリーンと、最高の音環境で
体感したいエンタテイメントになっている。
観客側からの視点や、バンド側からの視点を、ダイナミックなカメラワークで表現
しており、本当にあの伝説の1985年7月に自分がいたかのように錯覚してしまう。
20世紀最大のチャリティーコンサート
このライブシーンは、「1億人の飢餓を救う」というスローガンの下、「アフリカ難民
救済」を目的として、1985年7月13日に行われた20世紀最大のチャリティ
コンサート。あのビートルズのポール・マッカートニーや、U2、デヴィッド・ボウイ、
ボブ・ディランやワムなど、それはそれは豪華な出演陣の中、クイーンのステージは
他のどのアクトよりも最高だったと、主催者のボブ・ゲルドフ自身も絶賛していた。
この出演が、当時、解散寸前状態と言われていたバンドの再浮上させる大きな転機と
なったと語られている。
クイーンの楽曲の素晴らしさ
タイトルにもなっている、「ボヘミアン・ラプソディ」をはじめ、ヒット曲が
劇中にわんさか使用されている今作。クイーンを知らない人でも、聞いたことのある楽曲が
あったのではないだろうか。クイーンファンのみならず、クイーンを知らない若者にも
素晴らしい楽曲の数々が、今、絶大な支持を得ている。映画鑑賞後は、皆、アップル
ミュージックでクイーンの楽曲を検索し、聴きながら帰路についたに違いない。
Killer Queen(キラークイーン)
1974年発表のシングル。イギリスのチャートでは2位と、初のスマッシュヒットと
なり、アメリカのチャートでも12位となり、アメリカ初のヒット曲になる。
ミュージックビデオは、BBCの生放送音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」出演時の
映像が使われている。演奏が口パクと当て振りだったエピソードが、劇中で触れられて
いる。
Bohemian Rhapsody(ボヘミアンラプソディ)
映画のタイトルにもなった曲。演奏時間6分という、当時としては異例の楽曲。
しかし、イギリスでは発表直後9週連続1位を獲得。この曲の制作秘話が劇中で色濃く
語られている。最後のライブシーンをみれば、どうしてこの曲が映画タイトルになったか
わかるだろう。
Radio Ga Ga(レディオガガ)
1984年発表の楽曲。大衆がテレビへと移行する中で、ラジオへのノスタルジーを
歌った曲。曲中で、オーディエンスと手拍子をたたく箇所があるが、ここも今作で
感動のシーンとして表現されている。アメリカのトップシンガー、レディー・ガガは
大のクイーンファンで、自身の名前はこの曲からとったそう。
Another One Bites the Dust(アナザーワンバイツザダスト)
ベースラインが印象的な1曲。実は、マイケル・ジャクソンもクイーンの大ファンであり、
ライブへも何度か足を運ぶほどであったという。そんなマイケルが気に入っていた楽曲の
1つであったこの曲。それまでのクイーンの楽曲とはだいぶテイストの違うものでは
あったが、ブラックミュージックのサウンドもかっこよくこなすクイーンは、やはり
天才的バンドである。
We Are the Champions(ウィーアーザチャンピオン)
1977年リリースの今作。作詞作曲はフレディ。アメリカのシングルチャートで
最も売れたクイーンの楽曲である。「We will Rock You」と共に両A面で販売された。
ライブエイドの中でも歌われている。世界中の様々なスポーツの大会において
耳にすることも多い名曲である。
We Will Rock You(ウィーウィルロックユー)
「We Are the Champions」と共に1977年にリリースされた楽曲。
なんとも耳に残るフレーズと、力強い歌詞などが印象的な1曲。クイーンの楽曲で
1・2位を争う名曲であり、ライブではテッパン曲。観客と共に歌える曲を!
という意思で、ブライアン・メイが作詞・作曲。日本でも何度かCMで使用され、
知名度の高い曲。
Don’t Stop Me Now(ドンストップミーナウ)
1978年フレディ作の楽曲。疾走感ある爽やかなナンバー。この曲も映画の
ある部分で使用されており、日本では何度もCMに起用されている。
(1番記憶に新しいものでいくと、2006年、キリンビバレッジ・NUDAのCMで、
ナインティナインの岡村隆史がこの曲をバックに、ブレイクダンスを踊るものが
あったかと!)フレディのひくピアノが印象的である。
I Was Born To Love You(アイワズボーントゥラブユー)
フレディが1985年に自身のソロアルバム用に発表した楽曲。1991年に
フレディが他界した後、クイーンメンバーがアレンジを大幅に変更し、1995年に
発表したアルバムに収録され、シングルとして翌年日本でのみ発売されている。
2004年には木村拓哉主演のテレビドラマ「プライド」のテーマソングに起用され
クイーンの再評価につながった。
いまだにテレビで特集が組まれ、楽曲を聞かない日が無いほど、今ブームが再来
している。この機会にクイーンの素晴らしい楽曲に是非触れて欲しい。

